理学療法士とヨガインストラクター(RYT200)をしているくろまるです。32歳ですが、病院、介護施設、パーソナルトレーニングジム、ヨガスタジオなどでさまざまな仕事をした経験で役立ちそうな情報を「情熱」を持って書いています!
ヨガのアーサナ(ポーズ)を安全にとるための教えとして「バンダ」という考えがあります。この考えは、ヨガだけでなく、普段の姿勢においても「正しい姿勢」や「美しい姿勢」をとるために有用であるため、今回はその解説をしたいと思います。
私はヨガのRYT200という資格を受講していく中で「何千年も受け継がれてきた教え」と理学療法で習った近代的な「解剖学」「運動学」がマッチしていることにとても驚き、ヨガを学ぶのが楽しかった覚えがあるので、そんな解説を目指したいと思います!
バンダとは?
ヨガの練習において、バンダとはエネルギーの流れを整え、身体の安定性を向上させる教えになります。基本的にヨガのアーサナをとる際には緩めたり伸びを感じたりしますが、全てを緩めてしまうのではなく、最大限緩めるために、締めるところは締める必要があります。その締めるべきところが「バンダ」とされています。手首や足首など要所要所にあるとされているのですが、今回は基本的な3つのバンダについて紹介します。
ムーラ・バンダ(骨盤底)
ムーラ・バンダは骨盤底に存在するとされ、骨盤底を締めることで、骨盤の安定性を高め、土台を安定させる意味を持ちます。
ウディヤナ・バンダ(腹部)
ウディヤナ・バンダは腹部を締め付けることを指し、いわゆる体幹の強化による安定性やバランスの向上という意味を持ちます。
ジャーランダラ・バンダ(喉)
ジャーランダラ・バンダは喉を締め付ける事を指し、呼吸の制御の助けや頸部の安定性の強化という意味を持ちます。喉仏を締め付けることで精神を集中させ、内なる静けさを促進するともいわれています。
「体幹」の一般的見解とバンダの関連
簡単にヨガのバンダという考えを前述しましたが、昨今広まっている「体幹」というものの一般的見解との関連を述べてみます。
ムーラ・バンダと骨盤底筋群
骨盤底筋群とは下図のように骨盤の下側を覆っている様な筋肉群です。群というくらいなので、小さな筋肉の集まりを成しています。
この骨盤底筋群は良く「尿漏れ」などの改善のトレーニングとして鍛えられたりします。このブログのでも紹介しています。
骨盤底筋はそれだけでなく、重力に対して落ちてくる内臓を受け止め、腰椎を安定させるための「腹圧」を上げるためにも重要です。
これらの現在明らかにされている効果をムーラ・バンダという形で古代の人は気づいていたと思うとすごいですよね。古代の方の感覚の鋭さに驚かされます。
ウディヤナ・バンダと腹横筋
腹横筋とは下図の筋肉になります。「コルセット筋」なんていう別名もあります。
コルセットは一般的に腰痛の方などが、腹部を締め付け、腹圧を上げることで腰椎の負担を減らすという形で使用されますが、まさにこの腹横筋も同じ作用があると言われています。
よってこのウディヤナ・バンダもムーラバンダと同じく、腹圧を上げて腰椎と骨盤帯を守ることに繋がる、という意味があります。
人間の背骨を見ると胸椎の部分は肋骨があるため、構造的に安定しているのが一目瞭然かと思います。ですが、腰椎と頚椎に関しては、前方に固いものがなく、腰椎の前方には内臓、頚椎の前方には気管や食道といった生きていく上で重要なものがあります。それらを保護することにも重要な役割を担っていると考えられます。
次はその頸部に関わるバンダです。
ジャーランダラ・バンダと頚椎前筋群
前述したように腰部と同じ様に、頚椎も肋骨の様なものの支持がないので、筋肉で支えることが必要になります。これをするのに、首の前の筋肉と後ろ・横の筋肉が協働していますが、首の後ろの筋肉が大きいので、多くの人はそれに頼ってしまいます。それが肩こりなどにつながってしまうのですが、それに関しては下記の記事でそのトレーニング方法とともに紹介しています。
上記の記事で紹介している様に、首の前の筋肉を働かせる必要があります。それがこのジャーランダラ・バンダの解剖学的な意味となるかと思います。
まとめ
ヨガのバンダという考えは、正しい姿勢や美しい姿勢を保つために必要であることを、解剖学的な部分との関連などから紹介しました。この基本の3つのバンダをヨガをする時や、普段のふとした時の姿勢で意識する様にすると、姿勢の改善や美しい姿勢をとることにつながっていきます。トレーニングを行うことも重要ですが、普段から意識するという事が重要です。
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